【ゴルフ】 紛失球(ロストボール)探し 5分間の意味

ルールとマナー

後続組をパスさせること

紛失球探しはほどほどに

スロープレーヤーは他人に迷惑をかけまいというゴルフの心に乏しい人である。せっかく優勝しても、だれ人から祝福してくれる仲間はいない。喜んでいるのはご当人だけ、という場面を私は何回も見てきた。それでも仲間がいるうちはまだいい。やがて冷笑に取り巻かれ、敬遠され、次には無視というゴルファーにとっての極刑が訪れてくる。そのような人がふえると、いちいちマークする無茶を防ぐための〝継続パットの例のように、ルール化が必要になり、一部の不心得者のために皆がルールにしばられてしまう。

周囲の冷たい風を感じ始めた人は「もしや自分が一部の不心得者〟ではないか」と考えて みた方がいい。自分に限ってその一部〟ではない、と信じながら、実は不心得をおかしている人が一番困ってしまう。反省あるところに、またあたたかい仲間が集まってくるのであろう。

フェアウェーでのスロープレー、そして非常に多くの人が誤解し、無意識のうちにルールの心を踏みつけている例として紛失球(ロストボール)を取り上げてみよう。「ボールがどこかへ行ってしまったら、あとの組を待たせても5分間は捜してもいい」と、5分間を独占的な権利のように考えている人が意外に多い。捜すこととあとの組をパスさせることとは全く無関係なことなのである。

あとの組がつかえていても、とにかく捜し始めてから5分間は、だれが何といおうと構わない、と考える。そして大体5分間(5分ならましな方) 捜したあげく、どうしても見付からないので、しぶしぶあとの組をパスさせる気になりその旨を合図する。そして自分はのこの打ち直しに戻っていく。これでは大変な時間を食いコース全体のプレーヤーにまで迷惑を及ぼすことになってしまう。

用語の定義6の中に、紛失球とは「捜し始めてから5分間以内に発見できないか、自己の球であることを確認できない球」と定義してある。5分間まで捜す権利はあるが人を待たせる権利とは根本的に異なる。それを混同するところに問題が起こる。 見失ったボールを捜そうと捜すまいとにかかわらず、あとがつかえていれば、パスさせなければならない。

ルールの主眼はパスさせるところにある。捜し始める時はあとの組に合図してパスさせたい旨を知らせなければならない。その時点から5分以内をはかる。あとの組がボールを打ち、紛失組の線あたりまで歩いて来る時間が普通5分ぐらいかかる。これが目安であり、その時には紛失球の宣言をして紛失者はすぐ打ち直しに戻る。打ち直して再び同伴者と合流するころは、パスした組は打球の届く範囲外に歩き去ったころであり、紛失組はすぐプレーができるので時間のロスは少ない。5分以内という時間はパスさせることを前提に考えるとわかりやすい。時計がなくても、また時計とにらめっこをしないでも処理できる。

一方、あとの組の立場は紛失球を出した組がボール捜しに夢中で一向パスの合図が出なくても、非難はできるが、相手の意思を無視して追い抜くことはできない。相手の合図があって初めてパスする権利が生まれる。また紛失組が合図を送り、あとの組が打ち終わったところ、 その直後に、まだ紛失球の宣言がないうちにボールが見つかって、パスさせるよりすぐ打った方が早い、という状況ではどうするのが理想か。1度パスの合図を出したら取り消すわけにいかない。そこで判断はパスする権利のある後の組にまかされるわけだが、パスしない方が早いとわかれば「どうぞお先に」という気持ちになってほしい。 おもしろいことにそのような気持ちを持つと、かえって人はパスさせてくれるものである。ゴルフの心は法律的な義務を越えたところにあり、それは良識ある社会人の態度にも通ずるらしい。 どういうわけか、一般にパスさせることに大変な劣等感をいだく人が多い。だが、ルールの心からすれば全然逆なのである。自動車の運転がこれとよく似ている。 運転が下手な人ほど追い越されまいと必死になる。だが、うまい人は交通の流れがうまくいくように、という総合的な観念を持つ余裕があり、その観点から必要とあれば当然のように追い越させる。 必要な時にパスさせることを知っているゴルフ ァーはルールの心を身につけている人であり、劣等感どころか優越感をこそ感じるのではないでしょうか。

主な関連ルール

* 紛失球

エチケット5 後続組を通過させる

用語の定義6   5分以内に発見、確認

規則第29 紛失

規則第30 暫定

引用 新訂 スコアを縮める秘訣ゴルフルールの心 金田武明

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